伏び(ふせび)とは鉄道(線路)建設時に主に農業用水を流すために布設された横断管路です。古くは陶管が用いられており、建設後100年近くも経った陶管の伏びが50%を占めています。 伏びのひび割れ等により、伏び内へ土砂が流入してしまうと路盤に空洞が発生し線路陥没の原因となります。 大規模事故の原因となる伏びの欠陥の発見・補修は、安全で安定した輸送を確保する上で必要不可欠で、この伏びの特徴を充分に考慮した維持管路トータルサービスが「FCR(エフシーアール)工法」(Field Cross drain Repair)です。
鉄道路盤下の伏びの特徴を充分に考慮した維持管理トータルサービス「FCR工法」 (エフシーアール)(Field Cross drain Repair)を提供しています。
検査機器メーカ、材料メーカ、施工会社の持つ技術と連携することにより、調査・補修・改築といった管路維持管理トータルサービスを構築しております。
伏びは鉄道路盤下に埋設された横断道路にあるため、基本的には道路下に埋設されている下水道管路施設とは異なります。
しかし、今までの伏びの維持管理方法は下水道の維持管理と異なる点が多いにもかかわらず同じ方法でした。
FCR工法は伏びと下水道の相異点を分析し、研究開発を進め、伏びについてのコンサルティングから1次調査、しゅんせつ、カメラ調査、補修、改築までトータルにサービス提供します。
*「FCR工法協会」は平成10年4月1日に発足しました。FCR株式会社は「FCR工法協会」 の事務局となっています。
伏びの1次調査を行い、伏び台帳を作成します。 この作業によりカメラ調査の必要な伏びの絞り込みを行います。
【1.調査準備】
草刈りや周辺の土砂撤去を実施し、伏び管口を確認。
【2.調査】
施工位置・伏び径・伏び延長・伏び内土砂堆積状況・施工基面の状況・機材搬入路状況及び周囲状況などを調査し、伏び台帳を作成。
1次調査により絞り込まれた伏びについて、しゅんせつ後またはそのままの状態で伏び専用調査装置によりカメラ調査を行います。
伏び専用FCR自走式カメラ「PV-1560J、2500J」、押込式カメラ「PV-730J、1500J」の開発により下水道の調査カメラをそのまま使用することで発生していた問題点が解決できました。
【1.しゅんせつ 】
高圧洗浄車にて、しゅんせつ。
【2.カメラ調査】
伏び用カメラで伏び内の状態を調査。
不明片管口の推定および閉塞箇所の特定を行います。
これまでは、掘削する位置の「不確実性」や、掘削箇所が外れた場合の「コスト」や「施工時間」に無駄が生じるという問題がありました。
掘削箇所の予測をすることで「確実性」を向上し、無駄な掘削を減らして「コスト」や「施工時間」を削減できます。
位置探査には「管内からの探査」と「線路上からの探査」の2種類のアプローチ方法があります。
カメラ調査の状況により伏びの補修を行う場合は、FCRライナー工法シリーズを使用します。
伏び専用補修工法の開発により、下水道用の工法をそのまま利用していた従来の補修での問題点が解決できました。
損傷した伏びをたった1日で補修し、土砂の流入を止め陥没事故の発生を防ぎます。
工法には 標準タイプ/異径対応/短時間硬化タイプ/遠隔対応 短時間硬化タイプ/途中対応/大口径対応 の6種類があります。
FCR INジョイント工法は、経年変化で管路の継手部が開いた部分を内面から補修する内面バンド工法です。
1.地震や地盤変位により管の継手が変位しても変位に追従して水密性を保持。*1
2.管内での取付け作業は容易で水濡れ状態でも施工可能。
3.特殊繊維を複合したゴムリングとステンレスバンドで既設管に圧着し、優れた耐久性。
4.管路の局部補修で取付け作業時間を短縮し、優れた経済性。
*1 地震動レベル2(水平変位37㎜、屈曲1°)までの変位を想定。
適用管径は800mmから1,650mmで本体ゴムと拡張バンドにより構成
1.外水圧は0.03Mpa以下を想定。
2.ゴムを損傷させるような物が管内に流れると部品を損傷する可能性がある。
3.ソケットをカメラおよび目視で確認した時に管が損傷している場合は施工不可。
4.管に上下のすれ違いがないこと。
5.屈曲は1°以内であること。
6.目開きは上下の屈曲のみ想定。
7.管径および拡張バンド分割数、施工前条件目地幅は下記のとおり。
―内圧管の補修―
鉄道施設構内、発電所、融雪設備等に布設されている送水管等の内圧管に漏水や変状があった場合、管路の調査(腐食調査、漏水等の履歴調査等)により、その損傷や劣化に応じた補修ができる「FCR内圧ライナー工法」を開発しました。
1.非開削で補修が行え、短時間施工が可能。
2.水圧で反転施工するため、曲管施工、長スパン施工が可能。
【1.清掃】
高圧洗浄車で管内を清掃。
【2.調査】
カメラにて、施工前の管内の状態を調査。
【3.反転ステージ設置】
枠組足場等の反転ステージまたは反転機を設置。
【4.ライニング材挿入】
FCRライニング材先端より水を注入し、反転挿入。
【5.硬化】
FCRライニング材内に温水を循環、供給し、硬化。
【6.管端仕上】
FCRパイプの端部をFRP(ガラスマット+ビニルエステル樹脂、もしくはエポキシ樹脂)により仕上げ。
適用管径は800mmから2,000mmで本体ゴムと拡張バンドにより構成
1.事前調査を行うこと。
2.FCRライニング材挿入のため、枠組足場もしくは反転機が必要。
3.一定水量確保、温水冷却放流が必要。
4.管径および材料呼び厚さは下記のとおり。
―調査後すぐ応急措置―
伏び調査を行ったとき、変状が大きく陥没の恐れがある場合、すみやかにFCR応急措置を行います。
通水を確保し、線路陥没を防止します。
補修機材がコンパクトなため、どんな場所でも補修可能です。
【1.伏びへの通水管の引込み】
伏びへ充填チューブを取付けた通水管を引込む。
【2.発泡硬質ウレタン充填工】
発泡硬質ウレタン材充填。
【3.呑口、吐口処理】
呑口、吐口と通水管の隙間に土のうを入れて呑口、吐口処理。
1.既設伏びの大口径側から材料の引込みができ、撤去スペースがあること。
2.伏びの長さは25m以下であること。
3.管径はφ150mm~φ460mmであること。
不要伏びの管内にモルタルを注入して閉塞し、線路陥没などを防止する伏び撤去工法です。
1.非開削工法で短時間施工が可能。
2.注入チューブを使用するので注入材の流出がなく充填が容易。
3.伏びの途中で閉塞していても、片管口でも施工可能。
4.既設伏びの管材などの廃棄物なし。
【1.しゅんせつ】
高圧洗浄車にて、しゅんせつ。
【2.モルタル注入チューブ挿入】
既設伏びからのモルタルの流出を防止するために、伏び管径と同径のモルタル注入チューブを管内に引き込む。
【3.管口閉塞・注入設備設置】
空気抜きパイプ及びモルタル注入パイプを設置し、両管口を閉塞する。
【4.モルタル注入】
注入材(特殊セメント裏込め材)をミキサーで撹拌し、ポンプにて注入口よりモルタルを伏び内に注入する。
1.特殊セメント裏込め材
モルタル注入材料に使用する。
2.超速硬セメント
管口閉塞、管口仕上げ材に使用する。
3.モルタル注入チューブ
伏び管径と延長に合わせて使用する。
1.事前調査が必要。
2.モルタル注入材のための水が必要。
―破損した伏びの補修―
カメラ調査の状況により破損した伏びの補修を行う場合は、FCRガラスライナー工法を使用します。伏び補修専用工法の開発により、下水道用の工法をそのまま利用していた従来の補修での問題点が解決できました。
損傷した伏びを補修し、土砂の流入を止め陥没事故の発生を防ぎます。
【1.簡易清掃】
高圧洗浄車で伏び内を簡易清掃。
【2.調査】
伏び用カメラで、施工前の伏び内の状態を調査。
【3.ガラスライニング材引込み】
FCRガラスライニング材を伏び内に引込む。
【4.硬化】
FCRガラスライニング材を空気圧で拡張させた後、所定の温度と圧力の蒸気を供給し、硬化。
【5.管口仕上】
FCRガラスパイプの両側管口仕上げ。
1.施工車両が300m以内に近づけること。
2.管径および材料呼び厚さは下記のとおり。
※施工車両が300m以内に近接できない伏びの補修を行うFCRガラスライナー工法(遠隔対応 短時間硬化タイプ)も用意しています。
―特殊大型機械が不要、小スペースで施工可能―
FCR3Sセグメント工法は、大型機械を必要とせず、小スペースで大口径伏びおよび橋梁の補修を可能にした工法です。
1.特殊大型機械設備が不要。
2.プラスチック製のため軽量であり、施工が簡単。
3.部分補修が可能。
内面に硬質プラスチック製のセグメントをボルト・ナット等で組立て。
既設伏び・橋梁内壁面とセグメントの間にFCR3Sセグメント用充填材を注入。
1.セグメント組立時にエアーコンプレッサー、充填材注入時に発電機、ミキサー、注入ポンプ等が必要。
2.混練作業時に充填材用の水が必要。
3.施工可能な円形管呼び径及び矩形管の内寸は下記のとおり。
―発進側立坑のみで施工可能―
変状が激しく補修出来ない伏びには、FCR推進工法を使用します。
FCR推進工法は伏びの特長を充分考慮し、さらに安全な施工を最優先課題として現存工法を改善しました
1.達側に機材を持ち込むことなく、発進側のみで施工可能。
2.2重管ケーシング方式の施工により、推進途中で刃先および切削ビットの交換が可能、地盤の変化および地中障害にも対応可能。
3.取込制御装置を装備することにより、作業中および作業休止時の営業線の安全を確保。
4.最小土被りは普通土で2m程度で施工可能。
5.粘性土~岩盤まで広範囲な地盤に対応可能。地中障害物もクリア。
6.ターゲットを視準して精度調整。
7.設計荷重に応じたガラスライナーで補強。
【1.推進機設置】
立坑内に推進機を搬入し組立て、埋込アンカー材に推進機を固定し、配管・配線等の設置。
【2.鋼管推進】
鋼管と内管をセットした二重管を随時溶接により接合し管路を築造。
【3.内管引抜】
到達後、刃先および内管を発進立坑へ引抜き回収。
【4.推進機撤去】
固定材を切断し、推進機を搬出および配管・配線等を解体し撤去。
鋼管のみが残り推進作業完了。
【5.FCRガラスライナー】
鋼管の内側をガラスライナー。
1.占有作業帯が現場付近に必要。
2.機械等の搬入路が必要。
3.推進および充填のための水が必要。
伏びの変状が局部的な閉塞の場合、全線推進工法によることなく変状部まで既設伏びに合わせて推進し、推進鋼管と既設伏びを接続して補修する途中推進工法を用意しました。
1.推進距離が短く、経済的。
特に全長に対して、管口から閉塞部までの距離が短ければ大幅コストダウン
【1.推進機設置】
立坑内に推進機を搬入し組立て、埋込アンカー材に推進機を固定し、配管・配線等の設置。
【2.鋼管推進】
鋼管と内管をセットした二重管を随時溶接により接合し管路を築造。
【3.内管引抜】
変状部除去後、刃先および内管を発進立坑へ引抜き回収。
【4.推進完了・既設伏びと接続】
固定材を切断し推進機を搬出および配管・配線等を解体し撤去。
鋼管のみが残り推進作業を完了。
【5.FCRライナー】
鋼管の内側をFCRライナー。
【6.モルタル充填】
既設伏びと推進鋼管の空隙にモルタル充填。
1.占有作業帯が現場付近に必要。
2.機械等の搬入路が必要。
3.推進および充填のための水が必要。
FCR水路再生モルタルライニング工法は、コンクリート水路の摩耗や浸食をうけた躯体表面に高耐久性を有するポリマーセメントモルタルを塗布し、平滑性、水密性などの機能の回復・向上を図る工法です。
1.コンクリート水路に生じる様々な摩耗・断面欠損に適用でき、粗度係数の改善が可能。
2.湿潤面用エポキシ樹脂系プラマーを使用することにより、湿潤面施工に対応できるとともに、脆弱化した既設水路躯体との一体化を長期に確保。
3.ポリマーセメントモルタルは適量の水と混練するだけで使用でき特殊な技術は不要。
4.耐摩耗性に優れ、高耐久性を発揮。
―施工車が近接しにくい排水管の補修―
車両センター内の排水管に浸入水・漏水・変状があり、補修を行う場合、補修施工車が排水管口に近接しにくいため、施工が困難な場所でした。
少しでも近接可能な小型車両で施工でき、また300m以内に近接できれば施工可能な「FCRライナー工法」、「FCRガラスライナー工法」により補修を行っております。
―線路閉鎖間合の中で補修―
都市圏駅構内排水管に侵入水・漏水・変状があり、補修を行う場合、数時間の線路閉鎖間合の中で施工を完了させることは困難でした。
「FCRライナー工法(短時間硬化タイプ)」により短時間で補修を行っております。
―線路閉鎖間合の中で補修―
トンネル内排水管に侵入水・漏水・変状があり、補修を行う場合、数時間の線路閉鎖間合の中で施工を完了させることは困難でした。
「FCRライナー工法(短時間硬化タイプ)」により短時間で補修を行っております。
―路盤陥没(線路陥没)等の危険箇所の探査―
伏び等に起因する空洞や緩み等の確認、不明伏びの発見、各種埋設構造物の探査・確認を行います。
可搬型線路下空洞探査装置を使用します。
手押しにより走行しながら簡便に軌道上を探査できるため、試掘をしなくても路盤陥没(線路陥没)等の危険箇所を探索することが可能になりました。